こういう接戦をものにしてこそ強いチームと言えると思います。1974年の地元W杯にて、西ドイツを優勝に導いたかの皇帝ベッケンバウアーは次のように言っています。「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」と。戦前を覆す勝歴ですが、無冠が続くアーセナル。そう、勝ったものこそ強いのです。
アシストはピンポイントクロスのラムジーでした |
一方、イングランドで言えば、最多優勝回数を誇るユナイテッドでさえ、常に良い内容のフットボールをしていたわけではなく、内容よりも結果を求めたゲームは数知れません。
それでも勝つから優勝でき、結果クラブ価値が上昇し、両クラブともに、今では知らぬ者はいないほどのメガクラブです。
内容うんぬんを口に出来るのは勝者の権利なのかもしれませんね。敗者がそれを口にしたところで、言い訳か強がりにしか聞こえないことのほうが多いですから。
翻って、話は我らがガナーズです。現在首位を走っていますが、今節の2-0の勝利に酔いしれられるほどお気楽ではいられない、という言い方が的を得ているでしょうか。文字通りのハードファイトでした。シャマフの決定機を阻止したとしてレッドカードが提示されたアルテタが次節大一番のリバプール戦に出場できないことが決まっています。
スアレスが圧巻のハットトリックを達成し、スターリッジが中村俊輔ばりの芸術的なループを決め、アーセナルが引き分けに持ち込むのが精一杯だったWBAを全く寄せ付けなかったレッズです。笑ってしまうくらいにFW陣が好調すぎ、破壊力だけで言えばプレミアでも1,2を争うレベルかと思います。
それにフラミニもどうでしょうか。開始早々8分で18歳のグナブリーと交代を余儀なくされており、WBA戦で負った脳震盪が後を引いているのかもしれません。頭のダメージなだけに慎重に慎重を重ねていきたいところです。
これによって不動のダブルボランチが全滅。残りはラムジーとウィルシャーしかいないスクランブルになりました。ちょうど純粋なウインガーである、テオとオックスの主力の2人も揃って怪我中ときています。
一試合出場停止だけで済みそうなアルテタは怪我ではないとはいえ、ポドルスキーも含めると、毎年恒例の野戦病院状態です。
同じメンバーで乗り切れるか、もしくは若手を登用する以外他になく(グナブリーの活躍というサプライズはあれど)、リバプールとの対決ではセンターに誰を起用するのかが間違いなく試合のキーになりそうですね。
やはり今冬にはセンターに一枚誰か実力者を獲得する必要があるかもしれません。冬の折り返し地点で首位であれば、アーセナルに期待してくれてもいいとベンゲルは以前コメントしていましたが、それを現実のものにするには強力なセンターハーフがしっかり稼動しているのが前提だと思います。
このポジションはアカデミーにたくさんいるのですが、いかんせん経験値が求められるタフな役割なだけに、求められるのは一軍での実戦経験のない若手はおろか、ラムジーのような推進力のある攻撃的なセンターでもなく、フラミニのような守備専門の人材です。
マージーサイドのチームには、ラムジーとウィルシャーの2センターで望む可能性があるかもしれませんが、開幕戦の敗戦が再び繰り返されることのないよう祈るばかりです。相対するは、強敵リバプール。バックラインだけで守りきれるような易い相手ではなく、ボランチとの連動でユニットで跳ね返す必要があります。
もちろん、攻撃は最大の防御でもあるので、好調のジルーやエジルなどの攻撃陣を中心に押し込む時間帯が増えれば、技巧派が多いガナーズなだけに、ポゼッションでは上回れるでしょうから、ベンゲルの采配とうまく噛み合えば、試合をコントロールでき、首位を堅持できるかもしれません。
GKのスチェスニーがかなり当っていたのも、レッズ戦に向けて好材料です。際どいシュートもかなり放り込まれましたが、全てをはじき返していたわけですからね。キーパーがいいと試合が締まりますね。レーマン以降の正GK問題に決着を付けられるほどの貫禄が出てきていると思います。
やはりヴィヴィアーノの獲得が彼の競争意識に火をつけているのかもしれませんね。ウィルシャーやラムジー世代で、ホームグロウンの彼はまだまだ若いですが、実戦経験は豊富。変に天狗になりさえしなければ、アーセナルの正GKは彼でいけるかと。
ポドルスキー、テオ、オックスの復帰が本当に待たれます。カソルラの復帰はありがたいニュースですが、次第に攻撃のオプションが限定されてきている中、ジルーがドルトムント戦に引き続き、値千金のゴールを決めてくれました。ベンゲルだけでなく、グーナー全員が本当に彼を獲って良かったと思っているのではないでしょうか。
ゴール後の感極まったような表情は、よほど苦しかったのだと思います。1位と19位の戦いとはいえ、動きが全体的に重いガナーズの心境を代表した表情のように思えました。
ベッケンバウアーの言葉が重いです。
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