このブログでは主観に基づく雑感がほとんどです。アーセナル9割、その他の話題で1割くらいです。そして、今一番やりたいことはエミレーツでの生観戦。毎日更新をできるだけ心がけています。試合がないときはアーセナル以外も取り上げます。

12/01/2013

v カーディフ (BPL) ~神様は乗り越えられる試練しか与えない~

アンカーで8得点目です。得点ランキングで彼より上にいるのはプレミアで名のある強力なストライカーばかり。古巣カーディフ相手にこの日2ゴールの大活躍のラムジーは未だゾーンの中にいると見て取れました。喜びを表情に出すような不義理もしません。


スーパーラムジーを再び目の当たりにしたグーナーは、二十歳を過ぎたばかりの青年が今季これだけほどの傑出した出来でチームを牽引している姿など開幕当初は想像だにできなかったと思います。そう、現実離れした出来事が今実際に起きているのです。

人間性とはこういうことを言うのでしょう

アーロン・ラムジーが育ててもらったクラブに足を向けることなどできるわけもありません。ましてや彼の場合は一際そうであるはずです。ここで思い出されるのは、2010年シーズンの対ストーク戦で、彼の足に相手選手から一発退場ものの殺人的なタックルがまともに入ったあの悲しい事件です。


尋常ではないそのラムジーの様を近くで目撃した主将のセスクが血相を変えて担架を要請するほどの重傷でした。あまりの惨状にTV局がリプレイ映像を自粛するほどだったのです。


余談になりますが、その後アーセナルはタイトルレースから失速。勝てる試合を次々に落とし、この一件が選手のメンタルにひどい悪影響を与えているのは誰に目にも明らかでした。かたやラムジーはもしかしたらここで本当に選手生命を絶たれたかもしれず、アーセナルというビッグクラブでレギュラーを掴みかけていた若者にとっては、神様の不在を疑ってしまうような非常に厳しい現実だったかと思います。


もちろんラムジーは強いハートを持った人間なので、チーム関係者の最大のサポートを受けながら長期に渡る懸命のリハビリを終えました。しかし、準備を整え満を持してゲームに出場しても、繊細な感覚は失われてしまったようでフィットせず。なぜラムジーが出場するんだ!そんな心無いヤジもたくさん飛び交いました。それでもベンゲルは彼を起用し続けることをやめませんでした。


あのタックルで全てを奪われたような、そんな傷つきボロボロに成り果てたラムジーでしたが、戦犯にもされチームに貢献できない日々を過ごす彼に暖かい手を差し伸べてくれたのは、他でもないウェールズにある古巣のクラブでした。


ベンゲルはそれを快諾。ランボーなるニックネームで親しまれる懐かしの環境に戻ったラムジーは、アーセナルの赤とは正反対の青いユニホームに袖を通し、一か月間の超短期レンタルだったこともあり、6試合に出場し1得点を記録しました。


レンタルを終え、ガナーズに復帰を果たし、ついに迎えた今シーズン。


エジルという念願のワールドクラスを獲得し、二年目のジルーのブレイク、バックラインの充実など様々な好要因がラムジーに作用したこともあると思います。ただそこにもう一つ付け加えるとすると、指揮官ベンゲルの彼への信頼がかなり大きいのではないかと思うのです。


後に背番号10を背負うことにあるウィルシャーとともに、アーセナルの未来である彼を見限ることなど、人を育てるベンゲルにとっては絶対のタブーであるはずです。ただし、彼を辛抱強く起用し続けていた老練な監督もタイトルから見放されていることもあり、当然多くの批判を受けました。


しかし今、ベンゲルの薫陶を受けたラムジーはこれまでの全てのノイズをかき消しています。見事に世界は見返されました。戻ってきたラムジーのドラスティックな覚醒は、レアル・マドリードからの新参者であるエジルのパフォーマンスを凌ぐものがあるくらいですから。


そう、これだけの経緯があるわけです。彼のように胸を打たせるプレイヤーは世界を見渡しても、そんなに多くはないかもしれません。これは実際のプレーがどれだけ別次元であるかとは無関係の話で、メンタルの部分が深くかかわってくるものだと思うからです。


いや、正確に言うと、クラブへの貢献度や忠誠心を知る方にとってみれば、そういう選手はいるかもしれませんが、ことラムジーに限って言えば、絶望から奇跡のカムバックを果たした今の獅子奮迅の活躍を目の当たりにすれば、少なくともカーディフ関係者とグーナーは胸に熱いものが込みあげてくるのではないでしょうか。私などはまさに、胸がすく思いです。


ウェールズの至宝である背番号16が、生涯アーセナルを貫いてくれることを祈ると同時に、止まるところを知らない彼の活躍はアーセナルの行く道を明るく照らし、ベンゲルが正しかったことへの力強い証明となっています。




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