この人なら絶対に外さない安心して観ていられる、という予想が覆ってしまったことへの落胆も確かにあるでしょう。でも、それは期待のあらわれでもあります。CL第五節対マルセイユ戦、鳴り物入りで加入したエジルをこの程度で貶める者は誰もいないでしょう。
10歳以上年が離れた二人です |
サニャの縦パスから裏へ一気に抜け出したウィルシャーがノープレッシャーの状態でボックス内に侵入、マーカーをあしらい得意の左でゴールをおとしいれました。強打ではなく、巻いたシュートを打てるのが"らしい"ですね。強襲成功です。
またこの試合ガナーズの両翼が目立っていたのがキーだったかと思います。サニャのタッチ数はなんと129という出色のパフォーマンス。ポジション柄、ボールに触れる機会が多い3列目のラムジーの140に次ぐチーム二番目でした。今シーズン彼の活躍は目を見張るものがあります。
実際、アーセナルは右サイドからの攻撃が平均40%を占めるチームで、サニャがアウトサイドで主導権を握ることに成功すれば、おのずとチャンスは激増します。リーグ屈指のクロッサーが放る精度の高いボールの先には長身のジルーがいますので、監督のベンゲルもキャリアハイかと思わせるサニャを使わない手はありません。
体調不良と報じられるギブスの代わりに先発出場を果たした左サイドのモンレアルも良かった。whoscored.comのレーティングによると、彼はチーム三番目の8.1でした。スペイン人らしく、随所に技を見せていましたね。そして彼のハイライトは、やはり73分に訪れたゴールライン上での決死のクリアでしょうか。
試合は終始ほぼガナーズの展開でしたが、一点食らえば何が起こるか分からないのがフットボールの怖さなだけに、失点を防いだ彼のクリアが持つ意味は本当に大きいです。プレミアリーグではガナーズの左サイドはギブスの先発で固定されていますが、モンレアルとのターンオーバーは多くのグーナーが指摘していることで、私も同意見です。
ただ、やはり目立っていたのはウィルシャーですね。チームの総シュート数15の1/3を攻撃時のほとんどのシーンに顔を、覗かせていた彼とラムジー二人の若いデュオだけで稼いでいることからも、かなり前傾姿勢だったことが分かります。相変わらず有効タックル数の多いラムジーは守備と攻撃の両面で自身の性能をいかんなく発揮。ベンゲルもほぼ全ての試合でスターターとして若干21歳の若武者をピッチに送り込んでいるのも頷けます。
話の時間軸が前後しますが、PK失敗の後遺症を感じさせないエジルの突破でゴール正面のフリーキックを得ました。PKを外していただけにここは勢いのあるラムジーに譲ったのかもしれませんね。分かりやすい一つのミスこそあったものの、総じて高水準なテクニックで何度もマルセイユを脅かしたエジルもアシストをまた一つ追加し、アーセナルの10番の本日二点目を引き出しました。
やはりエジルの間合いは一人だけ別空間で周りとは違う感じです。足元の確かなガナーズのチームメイトですら、彼のボールコントロールは真似できないんじゃないでしょうか。一見なんでもないようなプレーをしてますが、彼の左足に結集された技術はおよそフットボーラーとしてはもはや完成形に近いのではないかと思います。
63分にセンターサークル付近で見せた彼のお洒落なヒールキックもジルーのスリップさえなければゴールに結びついていたかもしれませんし、チャンスメークの数々を考慮すると、逃してしまった追加点などあっさり忘却できるくらいの印象深い活躍でした。
マルセイユはこれで五連敗の勝ち点ゼロ。決して弱いチームではないのですが、グループFでは完全に当て馬状態です。アーセナルは勝ち点を12にのせ、一躍トップに躍り出ましたが、これでいつもならほっと一息つけるところ。ですが、そうは問屋が卸さないのが難敵揃いのこの死のグループです。
一位でノックアウトラウンドに進むために必要な勝ち点は最終節アウェーのナポリ戦に持ち越しです。もちろん、勝てば文句なしの首位通過。ただし、普通なら首位通過確定ポイントである勝ち点12を獲っていても、負ければグループ敗退もありうるチャンピオンズの歴史上きっての緊迫感溢れるクロスゲームに、私も盛り上がりを感じずに入られません。
天才バッジョが生まれたイタリアの地で、14年連続決勝トーナメントに進出し、歓喜に沸くアーセナルを見てみたいですね。そう、絶対に負けられない戦いです。
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